遺言書を作らずに亡くなると何が起きるか|福山市の行政書士が解説

「うちは財産も少ないし、遺言書なんて必要ない」「家族仲がいいから大丈夫」——そう思っている方は多いのではないでしょうか。

しかし実際には、遺言書がないまま亡くなると、残された家族が想像以上の負担を抱えることになります。本記事では、遺言書がない場合に起きる具体的な問題を、福山市の行政書士がわかりやすく解説します。


目次

遺言書がない場合、まず何が起きるか

人が亡くなると、その財産(遺産)は相続人に引き継がれます。遺言書があれば、故人の意思に従って財産を分けることができます。しかし遺言書がない場合、相続人全員が話し合い(遺産分割協議)によって財産の分け方を決めなければなりません。

この「遺産分割協議」が、さまざまなトラブルの入口になります。


① 相続人全員の合意が必要になる

遺産分割協議は、相続人全員の合意がなければ成立しません。一人でも反対すると、手続きが完全にストップします。

ふだん仲の良い家族であっても、お金の話になると関係が変わることがあります。「長男が親の面倒を見ていたのだから多くもらうべき」「いや、法律通りに平等に分けるべき」といった意見の対立は珍しくありません。

遺言書があれば、こうした話し合い自体を省略できるケースが多くあります。


② 相続人の範囲が思わぬ広さになることがある

「相続人は妻や子どもだけ」と思っていても、実際にはそうならないケースがあります。

特に注意が必要なのが、子どものいない夫婦のケースです。

子どもがいない夫婦の場合、民法の規定では配偶者だけでなく、亡くなった方の兄弟姉妹も相続人になります(民法第889条)。たとえ何十年も会っていない兄弟姉妹であっても、遺産分割協議に参加してもらわなければなりません。

結婚式以来、一度も会ったことがない「連絡先すら知らない」というケースも実際にあります。そうした場合、まず相手を探すところから始まり、協議が始まっても考えが合わなければ手続きが長期化します。

配偶者に財産をすべて遺したいと思うなら、遺言書による意思表示が不可欠です。


③ 預貯金口座が凍結される

亡くなった方の銀行口座は、金融機関が死亡を知った時点で凍結されます。凍結されると、原則として入出金が一切できなくなります。

2019年の法改正により、「預貯金の仮払い制度」ができ、遺産分割協議が終わる前でも相続人が単独で一定額を引き出せるようになりました。

引き出せる金額の計算式

単独で払戻しできる額 = 相続開始時の預金額 × 1/3 × その相続人の法定相続分 (同一の金融機関からの上限は150万円)

【具体例】 相続人が長男・次男の2名で、預金残高が600万円の場合:

長男が単独で引き出せる額 = 600万円 × 1/3 × 1/2 = 100万円

つまり、預貯金が多い場合でも、上限は1つの金融機関あたり150万円です。複数の金融機関に口座がある場合は、それぞれの金融機関で手続きをすれば合計額を増やすことができますが、その分だけ書類を揃える手間も増えます。

また、この制度を利用するには以下の書類が必要です。

  • 亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 申請する相続人の印鑑証明書

亡くなった直後という精神的につらい時期に、これだけの書類を揃えるのは家族にとって大きな負担です。また、預貯金の残高が少ない場合は引き出せる金額も少額になります。さらに、この制度を利用すると相続放棄ができなくなるリスクもあるため、慎重な判断が必要です。

遺言書があれば手続きがスムーズになり、家族が慌てる場面を減らすことができます。


④ 不動産の名義変更が複雑になる

自宅や土地などの不動産を相続する場合、遺産分割協議書をもとに**法務局で名義変更(相続登記)**を行う必要があります。

この手続きには相続人全員の署名・捺印が必要です。ここで問題になるのが、次のようなケースです。

  • 連絡が取れない相続人がいる:長年疎遠になっている親族や、行方不明の相続人がいると手続きが進みません。
  • 海外に住んでいる相続人がいる:海外在住の相続人には在外公館での手続きが必要になり、書類のやり取りだけで数ヶ月かかることもあります。
  • 相続人が先に亡くなっている:数次相続(相続が連続して発生するケース)となり、関係者がさらに広がります。

遺言書があれば、遺産分割協議を経ずに名義変更の手続きができ、こうした複雑な状況を回避しやすくなります。


⑤ 財産の分け方で深刻なトラブルになることがある

うちは財産が少ないから揉めない」というのは誤解です。むしろ、財産の内容によって分けにくい状況が生まれることがあります。

よくあるケースが、財産のほとんどが実家の不動産で、現金がほとんどない場合です。

たとえば相続人が兄と妹の2人で、遺産が実家(評価額2,000万円)と預貯金500万円だったとします。法定相続分は各1/2ですが、不動産は物理的に半分に切ることができません。

この場合、主な選択肢は以下のようになります。

  1. 兄が不動産を取得し、妹に代償金を支払う(兄に資金力がなければ困難)
  2. 不動産を売却して現金を分ける(実家を手放すことになる)
  3. 共有名義にする(一時的な解決策だが、後々問題が生じやすい)

特に③の共有名義は注意が必要です。共有名義の不動産は、売却や大規模リフォームの際に共有者全員の同意が必要になります。共有者の一人が亡くなると、その持分がさらにその相続人に引き継がれ、関係者がどんどん増えていきます。最終的には、見知らぬ人と不動産を共有するという事態になりかねません。

遺言書で「誰に何を遺す」かを明確にしておくことで、こうした問題を未然に防ぐことができます。


まとめ:遺言書は「争族」を防ぐための最善策

遺言書がないまま亡くなると、残された家族は次のような問題に直面します。

  • 遺産分割協議のために相続人全員の合意が必要
  • 子のいない夫婦では兄弟姉妹まで相続人になる
  • 口座凍結と仮払い手続きの負担
  • 連絡の取れない・海外にいる相続人との手続き
  • 不動産など分けにくい財産をめぐるトラブル

これらはすべて、遺言書一つで大幅に軽減できる問題です。

「まだ元気だから」「もう少し後で」と思っているうちに、準備できないまま時間が過ぎてしまうことがあります。遺言書の作成は、家族への最後の思いやりとも言えます。


遺言書のことなら森岡行政書士事務所へ

森岡行政書士事務所では、遺言書の作成サポートを行っております。「何から始めればいいかわからない」という方も、まずはお気軽にご相談ください。

初回相談無料|福山市・尾道市・三原市・神石高原町など広島県東部・岡山県西部エリア対応

📞 084-975-8400
🌐 https://souzoku-morioka.jp
📧 info@moriokaoffice.com

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次