大切な方が亡くなった後、悲しみの中でも相続手続きは待ってくれません。期限が法律で定められているものも多く、対応が遅れると不利益を被るケースもあります。
「何から手をつければいいの?」「手続きを見落としていないか不安」——そんな方のために、福山市の森岡行政書士事務所が、相続発生から完了までの流れを時系列でわかりやすく解説します。
※この記事は相続手続きを網羅的に解説しているため、長文になっています。「まず何をすべきか知りたい」という方は、「まず最初に確認してください」と「STEP1:市役所での手続き」からご覧ください。
この記事でわかること
相続手続きは「期限管理」と「相続人・財産の確定」が特に重要です。この記事では、亡くなった直後から相続完了までを、必要書類・期限・注意点とあわせて順番に解説します。読み終えれば、次に何をすべきかが明確になります。
- 相続発生後に必要な手続きの全体像と時系列
- 期限がある重要手続き(3ヶ月・4ヶ月・10ヶ月・3年)
- 各STEP別の主な必要書類
- 相続放棄・限定承認・単純承認の違いと注意点
- 戸籍収集・財産調査・遺産分割協議の流れ
- 認知症の相続人・海外在住の相続人がいる場合の対応
- 行政書士に依頼できる内容とメリット
まず最初に確認してください
ご家族が亡くなった直後は混乱しがちですが、まずは次の3つを優先してください。
- 死亡届・年金停止など市役所での手続き(7〜14日以内に期限あり)
- 遺言書の有無の確認(相続の進め方が根本的に変わります)
- 借金を含めた財産の調査(相続放棄の期限は3ヶ月です)
特に、借金がある可能性がある場合は、3ヶ月以内に相続放棄の申述が必要です。熟慮期間内に相続放棄や限定承認をしなかった場合、原則として単純承認したものとみなされ(民法第921条2号)、借金も含めてすべてを引き継ぐことになります。早めの財産調査が欠かせません。
相続手続きの全体スケジュール
まず、手続きの期限と優先順位を整理しておきましょう。
| 時期 | 主な手続き |
|---|---|
| 7日以内 | 死亡届の提出(市役所) |
| 10〜14日以内 | 年金・介護保険の停止届 |
| できるだけ早く | 遺言書の確認・戸籍謄本の収集・財産調査 |
| 3ヶ月以内 | 相続方法の選択(相続放棄・限定承認) |
| 4ヶ月以内 | 準確定申告 |
| 〜10ヶ月以内 | 遺産分割協議・名義変更・相続税申告 |
| 3年以内 | 不動産の相続登記(法律上の義務) |
特に相続放棄の3ヶ月と準確定申告の4ヶ月は見落としがちです。一つひとつ確認していきましょう。
STEP1|市役所での手続き(7日〜14日以内)
死亡届の提出(7日以内)
人が亡くなると、医師から死亡診断書が発行されます(事故死などの場合は死体検案書。どちらも相続手続きとしての効力は同じです)。この診断書と一体になった「死亡届」に必要事項を記入し、死亡を知った日から7日以内に市区町村役場へ提出します(戸籍法第86条)。
届出先は①死亡した場所、②故人の本籍地、③届出人の所在地のいずれかの役場です。福山市内であれば福山市役所または各支所窓口が届出先になります。
死亡届の提出と同時に火葬許可証を申請します。火葬後に「埋葬許可証」へと変わり、納骨のときに必要になるため大切に保管しておいてください。
なお、世帯主が亡くなり残る世帯員が2人以上になる場合は、世帯主変更届の提出も必要です(残った家族が1人の場合などは不要)。
死亡診断書は後の保険金請求や各種手続きでも必要になるため、5〜10枚程度コピーをとっておくことをおすすめします。
STEP1の主な必要書類
- 死亡診断書(医師が発行・死亡届と一体の用紙)
- 届出人の本人確認書類
- 印鑑
- 火葬許可申請書(役場の窓口で記入)
便利なサービス
福山市では、市役所本庁で**「おくやみワンストップ窓口」**を開設しており、死亡後の行政手続きをまとめて相談・申請できます(予約制)。
「どの窓口で何をすればいいかわからない」という方は、まずこちらを利用すると安心です。
ポイント
- 予約制(3開庁日前までに予約)
- 場所: 福山市役所 本庁舎1階
- 対象:死亡時に福山市に住民登録があった方の遺族
- 電話:084-928-1139
- LINE予約も可能
👉 [詳細記事:市役所での相続手続き完全ガイド(近日公開)]
年金・健康保険の停止届(10〜14日以内)
年金を受給していた方が亡くなった場合は、「年金受給権者死亡届(報告書)」を年金事務所または年金相談センターへ提出します。提出期限は、国民年金は死亡から14日以内、厚生年金は10日以内です。
ただし、日本年金機構にマイナンバーが収録されており、住民票の死亡情報を確認できる場合は、原則として届出を省略できることがあります。
福山市内の方は、福山年金事務所 が主な窓口です。
また、亡くなった方にまだ支払われていない年金(未支給年金)がある場合は、一定範囲の遺族が請求できます。請求先は年金事務所または年金相談センターです。
さらに、65歳以上の方、または40歳〜64歳で要介護・要支援認定を受けていた方が亡くなった場合は、介護保険被保険者証を市区町村へ返却します。福山市では、通常は被保険者証等の返却対応が中心で、別途資格喪失届の提出は求められていません。
なお、死亡後も口座振替の停止処理に時間がかかる場合があるため、介護保険料等が一時的に引き落とされることがあります。その場合は後日精算・還付されます。
STEP2|遺言書の確認
相続手続きを本格的に進める前に、遺言書の有無を必ず確認しましょう。遺言書が存在する場合、原則として遺言の内容に従って相続手続きが進みます(ただし、遺留分に配慮が必要な場合があります)。
確認先は次の通りです。
- 公証役場:公正証書遺言の有無を照会(全国どこの公証役場でも照会可能)
- 法務局:自筆証書遺言書保管制度を利用しているかを照会
- 自宅:金庫・仏壇の引き出し・タンス・書斎・通帳や印鑑を保管している場所等
自宅などで封印された遺言書が見つかった場合、絶対に自分で開封しないでください。公正証書遺言と法務局保管の自筆証書遺言を除き、家庭裁判所での検認手続き(民法第1004条)が必要です。無断開封は5万円以下の過料の対象です(民法第1005条)。なお、誤って開封してしまった場合でも、直ちに遺言が無効になるわけではありません。速やかに家庭裁判所へ検認の申立てを行いましょう。
👉 [詳細記事:遺言書の種類と検認手続きの流れ(近日公開)]
遺言執行者が指定されている場合
遺言書に遺言執行者が指定されている場合は、相続手続きの進め方が大きく変わります。
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な一切の行為を行う権限と義務を持つ者のことです(民法第1012条第1項)。令和元年7月の民法改正により、遺言執行者は就任承諾後、遅滞なく遺言の内容を相続人全員に通知する義務が明文化されました(民法第1007条第2項)。
遺言執行者がいる場合、相続人は相続財産を勝手に処分することができません(民法第1013条)。違反した行為は原則として無効です。遺言書を発見したら、まず遺言執行者の有無と内容を確認することが最重要です。
遺言執行者になれるのは未成年者と破産者以外の全員で(民法第1009条)、専門家(弁護士・司法書士・行政書士など)が選任されることもあります。遺言書に遺言執行者の指定がない場合は、家庭裁判所に選任を申立てることもできます(民法第1010条)。
👉 [詳細記事:遺言執行者の役割・権限・手続きの流れ(近日公開)]
STEP3|相続人の確定と戸籍謄本の収集
戸籍謄本の収集
誰が相続人になるかを法的に確定するには、故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本すべてを収集し、確認する必要があります。戸籍を遡ることで、前婚の子や認知した子など、家族が把握していなかった相続人が判明するケースもあります。
2024年3月1日から広域交付制度が始まり、本籍地以外の市区町村窓口でも戸籍謄本の請求が可能になり、複数の本籍地に分散した戸籍でも1か所でまとめて取得できるようになりました。
STEP3の主な必要書類
- 本人確認書類・印鑑
- 手数料(戸籍謄本1通:450円、除籍・改製原戸籍:750円)
- 各役場の戸籍請求書(窓口で記入)
- 故人との関係を証明できるもの(申請者自身の戸籍など)
戸籍収集や相続人調査が複雑な場合は行政書士へ
2024年から始まった広域交付制度により、戸籍収集は以前より便利になりました。しかし、相続では「誰が相続人になるのか」を戸籍から正確に読み解く必要があります。
特に、兄弟姉妹が相続人になるケース、代襲相続、数次相続、前婚の子がいるケースなどでは、戸籍の読み取りや相続関係の整理が複雑になることがあります。
行政書士に依頼すると、戸籍収集から相続関係説明図・法定相続情報一覧図の作成まで一括して進めることができます。
法定相続情報証明制度を活用する
複数の金融機関や法務局で相続手続きをする場合、都度、大量の戸籍謄本一式を提出するのは大変な手間です。そこで活用したいのが法定相続情報証明制度です。
法務局に「法定相続情報一覧図」(被相続人と相続人の関係を一覧にした図)を提出して認証を受けると、以後の手続きでこの公的証明書を戸籍謄本の束の代わりとして使うことができます。交付は無料で、何枚でも申請できます。福山市内では福山法務局(広島地方法務局福山支局)で申請できます。
👉 [詳細記事:法定相続情報証明制度の申請方法と活用法(近日公開)]
STEP4|相続財産の調査
相続人が確定したら、次は相続財産の全体像を把握します。プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も漏れなく調査することが後々の判断(相続放棄の検討など)にとって非常に重要です。
主なプラスの財産
- 預貯金(通帳・キャッシュカード・ネット口座)
- 不動産(土地・建物・農地)
- 有価証券・株式・投資信託
- 生命保険金・死亡退職金(みなし相続財産)
- 自動車・貴金属・骨董品など
主なマイナスの財産
- 借入金・住宅ローンの残高
- 保証債務・連帯保証
- 未払いの税金・医療費・家賃
受取人が特定の個人として指定されている死亡保険金は、一般的には受取人固有の財産とされており、相続財産には含まれません。ただし相続税の計算では「みなし相続財産」として扱われます。「500万円×法定相続人の数」まで非課税となる優遇措置があります(相続税法第12条)。
調査結果は相続財産目録として一覧化しておきましょう。遺産分割協議の添付資料や相続税申告の根拠資料として活用できます。
👉 [詳細記事:相続財産の調査方法と財産目録の作り方(近日公開)] 👉 [詳細記事:生命保険・死亡保険金の相続手続き(近日公開)] 👉 [詳細記事:銀行口座が凍結されたらどうする?(近日公開)]
STEP5|相続方法の選択(3ヶ月以内)
相続の開始を知った日から3ヶ月以内に、相続をどのように受けるかを選択しなければなりません(民法第915条)。この期限を「熟慮期間」といいます。選択肢は3つです。
単純承認——プラスもマイナスも全部引き継ぐ
最も一般的な方法で、財産も負債もすべて相続します。3ヶ月以内に何もしなかった場合や、財産の一部を処分・消費した場合は、自動的に単純承認したとみなされます(法定単純承認:民法第921条)。
具体的には、故人の預貯金を引き出したり、遺品を処分した場合、法定単純承認(民法第921条)に該当すると判断される可能性があります。借金があるかどうか確認する前に財産を動かすことは、大きなリスクを伴います。
限定承認——プラスの財産の範囲内でマイナスを引き継ぐ
プラスとマイナスどちらが多いかわからないときに有効な選択肢です。ただし、相続人全員が共同で家庭裁判所に申述しなければならず(民法第923条)、手続きが複雑なため実際にはあまり使われません。
相続放棄——すべてを手放す
財産も負債も一切引き継がない方法。家庭裁判所への申述が必要です(民法第938条)。一度放棄すると原則として撤回できません。なお、相続放棄をしても、受取人が指定された生命保険の死亡保険金は受け取ることができます。また、生命保険金の非課税限度額(500万円×法定相続人の数)の計算では、相続放棄した人も法定相続人の数に含まれます。
また、相続放棄によって相続人の順位が変わり、思わぬ親族が相続人になることがある点にも注意が必要です。
⚠️ 故人の預貯金の引き出しや遺品の売却などを行うと、法定単純承認(民法第921条)に該当し、相続放棄が認められなくなる可能性があります。葬儀費用の支払いや財産の保存に必要な最低限の行為は、直ちに法定単純承認とはならない場合もありますが、判断はケースごとに異なります。相続放棄を検討しているなら、財産を動かす前に必ず専門家へ相談することを強くおすすめします。
相続放棄の主な必要書類(家庭裁判所への申述)
- 相続放棄申述書
- 被相続人の死亡記載のある戸籍(除籍謄本等)
- 被相続人の住民票除票または戸籍附票
- 申述人(放棄する方)の戸籍謄本
- 収入印紙800円・郵便切手
※ 相続人の立場(子・孫・兄弟姉妹など)によっては、追加の戸籍謄本が必要になる場合があります。
👉 [詳細記事:相続放棄・限定承認・単純承認——3つの選択肢と判断基準(近日公開)]
こんな場合は早めに専門家へ相談を
次のいずれかに当てはまる場合、手続きが複雑になる可能性があります。お一人で抱え込まず、早めにご相談ください。
- 相続人同士が疎遠で話し合いが難しい
- 借金があるかどうかわからない
- 相続人の中に認知症・障がいのある方がいる
- 海外在住の相続人がいる
- 不動産が複数ある(特に農地・共有持分)
- 相続税が発生しそう
- 遺言書の内容に不満がある相続人がいる
福山市・尾道市・三原市など備後地域で相続手続きにお困りの方は、森岡行政書士事務所にお気軽にご相談ください。初回相談無料です。
※不動産登記および相続税については、司法書士や税理士などの専門家と連携し、適切にサポートさせていただきます。
STEP6|準確定申告(4ヶ月以内)
故人が事業所得や不動産所得など一定の収入を得ていた場合、相続人が代わりに「準確定申告」を行う必要があります(所得税法第124条・第125条)。期限は、相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内です。
公的年金収入のみの方については、一定の場合に確定申告が不要となるケースもあります。ただし、医療費控除や還付申告により税金が戻る場合もあるため、申告要否を含めて早めに税理士へ確認することをおすすめします。
STEP7|遺産分割協議と遺産分割協議書の作成
遺言書がない場合(または遺言で指定されていない財産がある場合)、相続人全員の合意による遺産分割協議が必要です(民法第907条)。一人でも欠けた協議は無効となります。
協議が整ったら、その内容を遺産分割協議書として書面化し、相続人全員が署名・実印で押印します。この書類が、銀行手続き・不動産登記・自動車の名義変更などすべての手続きの根拠書類になります。
遺産分割協議書作成の主な必要書類
- 相続人全員の実印・印鑑証明書(金融機関等によっては発行後3ヶ月以内を求められる場合があります)
- 相続関係説明図または法定相続情報一覧図
- 固定資産評価証明書(不動産がある場合)
- 通帳・残高証明書(預貯金がある場合)
- 自動車検査証(自動車がある場合)
特別受益・寄与分も考慮する
協議の際には、相続人の一人が生前に多額の贈与を受けていた場合(特別受益:民法第903条)や、故人の介護や事業に特別な貢献をした相続人がいた場合(寄与分:民法第904条の2)も、話し合いの重要な要素になります。これらを無視した分割は後の紛争の種になりかねません。
数次相続・代襲相続
祖父の相続が未解決のまま父が亡くなった場合(数次相続)や、相続人となるはずの子が親より先に亡くなっていた場合(代襲相続)など、相続関係が複雑になるケースもあります。こうした場合は専門家への早期相談をおすすめします。
👉 [詳細記事:遺産分割協議書の作り方(近日公開)] 👉 [詳細記事:特別受益とは——生前贈与が相続に影響するケース(近日公開)] 👉 [詳細記事:寄与分とは——介護や貢献をした相続人の権利(近日公開)] 👉 [詳細記事:代襲相続・数次相続とは(近日公開)]
<特別なケース①>相続人に認知症・障害のある方がいる場合
相続人の中に認知症や知的障がい・精神障がいにより意思能力を欠く状態にある方がいる場合、その方が参加した遺産分割協議は無効となる可能性があります(民法第3条の2)。意思能力の有無はその程度によって異なり、軽度の認知症であっても状況によっては問題となるケースがあります。たとえ形式的に署名・押印があっても、意思能力を欠く状態で行った法律行為は効力を持ちません。
この場合、家庭裁判所に原則成年後見人の選任申立てを行い(申立先は本人の住所地を管轄する家庭裁判所)、選任された後見人が代理人として協議に参加します。
注意点として、成年後見人は被後見人の利益を守る義務を負うため(民法第858条)、法定相続分以上を確保することが原則です。相続税の節税や二次相続対策を優先した柔軟な分割は難しくなります。また、一度選任された後見人は、相続手続きが終わった後も本人が亡くなるまで継続します。
また、後見人自身が同じ相続の相続人でもある場合は「利益相反」となるため、別途特別代理人の選任申立てが必要になります(民法第826条・第860条)。
こうした事態を防ぐためには、被相続人が生前に遺言書を作成しておくことが最善の対策です。遺言書があれば、遺産分割協議を経ずに手続きを進められます。
👉 [詳細記事:相続人が認知症・障害者の場合の相続手続き(近日公開)] 👉 [詳細記事:成年後見制度とは——申立て方法と注意点(近日公開)]
<特別なケース②>相続人が海外に在住している場合
海外に住む相続人も遺産分割協議への参加は必須で、除外された協議は無効です。協議自体は電話・メール・Zoomなどで行うことが可能です。
問題となるのが書類面です。遺産分割協議書には通常、相続人全員の実印による押印と印鑑証明書の提出が求められます。海外に転出した方は日本の印鑑証明書が取得できません。その代わりに次の書類が必要です。
① サイン証明(署名証明) 居住地の日本大使館・総領事館(在外公館)で取得します。担当官の面前で遺産分割協議書に署名することで、日本の印鑑証明書と同等の効力を持つ証明書が発行されます。在外公館への本人出頭が原則で、代理申請はできません。
不動産の相続登記に使用する場合は、遺産分割協議書と一体にとじる「合綴型(貼付型)」のサイン証明書の取得が推奨されています。
② 在留証明書 住民票の代わりとなる書類で、不動産の相続登記では、住所を証明するために在留証明書の提出を求められることがあります。こちらも在外公館で取得します。
なお、複数の金融機関で手続きがある場合、相続人ごとに別々に作成できる**「遺産分割協議証明書」**の形式を使うと、書類の国際郵送の回数を減らせるため、実務上よく使われます。
専門家に依頼することで、海外在住の相続人の方が一度も帰国せずに手続きを完結できる場合もあります。
👉 [詳細記事:相続人が海外在住の場合の手続き(近日公開)]
STEP8|銀行・不動産の名義変更
遺産分割協議書が整ったら、各財産の名義変更を進めます。
預貯金の相続手続き
金融機関が死亡の事実を知ると、故人の口座は凍結されます。解除には、遺産分割協議書・戸籍謄本・相続人の印鑑証明書などを窓口へ持参します。福山市内の金融機関でも手続き方法や必要書類は窓口ごとに異なるため、事前に確認が必要です。
銀行・預貯金の相続手続きに必要な書類(一般的な例)
- 遺産分割協議書
- 故人の通帳・キャッシュカード
- 相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書
- 手続きをする相続人の本人確認書類
👉 [詳細記事:銀行口座の相続手続き完全ガイド(近日公開)]
不動産の相続登記(3年以内・義務)
2024年4月1日から相続登記が義務化されました(不動産登記法第76条の2)。相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記しなければならず、正当な理由なく怠った場合、10万円以下の過料が課される可能性があります。
「まだ話し合いがまとまっていない」という場合などで相続登記の申請をすることが難しい場合に簡易に相続登記の申請義務を履行することができるようにする仕組みとして、「相続人申告登記」が新たに設けられました。
ただし、不動産についての権利関係を公示するものではないため、相続した不動産を売却したり、抵当権の設定をしたりするような場合には、別途、相続登記の申請をする必要があります。
👉 [詳細記事:相続登記義務化と相続人申告登記の使い方(近日公開)]
不動産登記の申請は司法書士の業務ですが、当事務所でも連携先をご紹介します。
自動車の名義変更・売却
自動車も相続財産の一つです。遺産分割協議書や戸籍謄本などをもとに、運輸支局(陸運局)での移転登録手続きが必要です。
👉 [詳細記事:自動車の相続手続き(近日公開)]
STEP9|相続税の申告(10ヶ月以内)
相続財産の総額が基礎控除額を超える場合、相続税の申告と納税が必要です。期限は相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です(相続税法第27条)。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
例えば、相続人が配偶者と子2人の計3人なら、基礎控除は3,000万円+600万円×3人=4,800万円です。財産の合計がこれ以下であれば原則として申告不要です。
ただし、不動産の評価額が高い地域では思わぬ申告義務が生じることもあります。「申告が必要かどうか」の判断も含めて、早めに税理士へ相談することをおすすめします。当事務所でも連携先の税理士をご紹介します。
行政書士に依頼するメリット
相続手続きには、戸籍収集・相続関係説明図・遺産分割協議書・各金融機関提出書類など、大量の書類作成が必要です。これらをご自身で対応しようとすると、次のようなリスクがあります。
- 収集すべき戸籍の漏れや取得先の間違い
- 遺産分割協議書の記載不備による銀行・法務局での差し戻し
- 財産の見落としによる後のトラブル
- 相続人の見落としにより遺産分割協議書が無効に
行政書士に依頼することで、こうした手続き漏れや書類不備を防ぎ、相続人の負担を大きく軽減できます。
行政書士が対応できる主な業務
- 戸籍謄本の収集・相続人の調査
- 相続関係説明図・法定相続情報一覧図の作成
- 法定相続情報証明制度の申請手続き
- 相続財産目録の作成
- 遺産分割協議書の作成
- 各種名義変更に必要な書類の作成・整理・提出支援
- 遺言書の作成支援・遺言執行のサポート
なお、不動産の相続登記は司法書士との連携が、相続税の申告は税理士との連携が必要になります。また、相続人間で争いが生じている場合や交渉・代理が必要な場面では、弁護士への依頼が必要になるケースもあります。当事務所では、必要に応じて信頼できる各専門家とチームを組み、福山市・尾道市・三原市など備後地域の方を総合的にサポートします。
まとめ|相続手続きで大切な3つのこと
① 期限を最優先に管理する 相続放棄・限定承認の3ヶ月、準確定申告の4ヶ月は特に意識してください。期限を過ぎると選択肢が大きく狭まります。
② 財産もマイナスも全部把握してから判断する プラスの財産だけを見て安心しないでください。借金が後から発覚するケースも少なくありません。
③ 複雑なケースは早めに専門家へ 認知症の相続人・海外在住の相続人・遺言書と異なる遺産分割の希望など、イレギュラーなケースは手続きが複雑になります。早めの相談が解決への近道です。
よくある質問(FAQ)
Q. 相続手続きはいつまでに終わらせる必要がありますか?
相続手続き全体に一律の期限はありませんが、相続放棄・限定承認は3ヶ月以内、準確定申告は4ヶ月以内、相続税申告は10ヶ月以内、不動産の相続登記は3年以内と、個別に期限が設けられています。まず期限のある手続きから優先的に対応してください。
Q. 銀行口座はいつ凍結されますか?
金融機関が死亡の事実を把握した時点で凍結されます。家族が連絡した場合のほか、新聞の訃報欄などで金融機関が気づくこともあります。公共料金の引き落とし口座になっている場合は特に注意が必要です。凍結後に口座から現金を引き出すことはできなくなるため、当面の生活費の確保を事前に考えておきましょう。
Q. 相続放棄をすると生命保険金も受け取れなくなりますか?
受取人が指定されている生命保険の死亡保険金は、相続財産ではなく受取人固有の財産のため、相続放棄をしても受け取ることができます(最高裁判例)。詳細は専門家にご確認ください。
Q. 相続人の一人が連絡に応じない場合、どうすればよいですか?
遺産分割協議は相続人全員の参加と合意が必要です。一人でも欠けた協議は無効となります。話し合いが難しい場合は、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てを行うことができます。調停でも解決しない場合は審判に移行します。いずれも弁護士への相談をおすすめします。
Q. 相続人が誰なのかわからない場合は?
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を収集し、法定相続人を確定します。前婚の子や認知した子が判明するケースもあるため、戸籍の収集は慎重に行う必要があります。行政書士が戸籍の収集・相続人調査を代行することができます。
Q. 行政書士と司法書士、どちらに頼めばよいですか?
主に書類作成・官公署への申請については行政書士が対応できます。不動産の登記申請は司法書士の専門業務です。相続手続きの全体サポートや遺産分割協議書の作成から始めたい場合は、まず行政書士にご相談いただき、必要に応じて司法書士・税理士と連携するのがスムーズです。
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本記事の内容は情報提供を目的としたものであり、法律上の助言ではありません。個別のご事情については、必ず専門家へご相談ください。

